September 15, 2006   小説のハルヒを酷評してみる :  Others

T-Akfは基本的に流行りモノっつーのを懐疑的に見る人なので、
T-Akf内部でほとぼりが冷めるまでは放置していたんですよ。
そもそも一冊目を読んで「え、そんなに面白い?」って思ったクチなので。
アニメも最初の二話観て、「え?そんなに面白い?」だったのですが、コッチは評価しません。
「最後まで見たらまた評価変わるんだよ」とか言われそう。
んなもん最後まで見せるだけの求心力がない時点でT-Akfの評価外だよ。

と、いうことで。
小説の感想。

まぁ、こっちも「消失」(第四巻)までしか読んでないのです。
第一巻:憂鬱
第二巻:溜息
第三巻:退屈(短編集)
第四巻:消失
アニメは全体でつながっている、つまり「続き」で始まって「続く」で終わる物語なのですが。
小説は一冊完結なので、「オチまで以下略」って言う反論は受け付けようがナッシン。
まだ未完結だし、上下巻でも無いのに単品で評価できないとかありえん。
もちろん、コレが続き物ってのは認識してるので、
いきなり「消失」から読んで「キャラの造詣が云々」って言うつもりはナッシンだけど。

さて、感想だけど。
一言で言うと「高級なお皿に乗っけたビタミン剤」って感じがします。
色んな意味での「お約束」を引っ張ってきて、それを「萌え」で包んで、 そこに「ハルヒ」って言うジョーカーを入れただけなんだよね。
そのジョーカーが物語を面白くしているか、って言うとそれは微妙だし。うーん。
で、主人公のキョンはどこまで行ったって現状に対して愚痴るだけだし、ハルヒは最後まで自分に無自覚なまま。
これが前提条件として構成されてるわけ。
キョンは物語に突っ込みを入れるだけで介入してはいけないし、ハルヒも自覚的に能力を使ってはいけないって言う制約ね。
後者は分かるのよ
でも前者の設定、「主人公が介入しないシステム」ってただのギャルゲーと変わらないじゃん。
主人公がひたすら斜に構えてカッコつけてるくせに、物語に対してなんの介入もしないのよ。
他の面々がやってるワケのわからん小芝居を眺める観客の立ち位置なの。
その位置に読者じゃなくて主人公が突っ立ってるから邪魔で仕方が無いのよ。
私小説として描くには心理描写が死ぬほど甘くて、ただ愚痴ってるだけだし。
そんなペラペラな人間が見た世界だから物語がどんなにSFだとかお約束をたくみに使った世界観だろうが。
全部スカスカになるのよ。
読み終わったあとの感想って「あーキョンがぐだぐだ言ってたなー」なの。
それ以外に感想を思い浮かべる方法をむしろ教えてください。

だから概観は「王道」を利用してるから高級に見えるし、展開もそれなりにしっかりできてるんだけど。
全然味が無いのよ。
もちろん、「憂鬱(第一巻)」のアタマの時点で主人公が自分を「脇役」って位置づけてる時点で、そしてハルヒが「脇役」を求めた時点でこのシステムは確立しちゃってるんだけど。
つまり彼の立ち位置はハルヒが心変わりするまで変化しないし、彼の立ち位置が変わっても彼の感情が変わらなければ、
その間の不和に対して愚痴るだけなんだわ。
なんで小説で他人の愚痴を読まないとあかんねん。
まぁ、「消失」においてキョンは自分を「主人公の一員」に認識しなおしたみたいだけど。
その心理展開がちょっとアレなのも多分ハルヒのパワーのおかげでしょう。
(ココでハルヒの認識とキョンの認識が歩み寄ってるのかな)

で。
主人公の独白でありながら主人公が何もしないってスタイルだけがアレなのかって言うとそうでもなくて。
「お約束」があまりにクドい、ってのもアレかも。
究極的に、どこまで行ってもネタなのよ、コレ。
その「お約束」に対して膝を打つようなどんでん返しも無いから。
「憂鬱(第一巻)」は大本が「お約束」を前提にしてるから分かりやすいし。
「溜息(第二巻)」なんて主人公の無知が前提にあるから、最初から最後までベタ凪の展開だし。
起承転結どころかなんか「いつ始まっていつ終わったのか分からん話」だし。
「消失(第四巻)」のなんて50ページ辺りでオチが見えるじゃん。
「あ、この一冊でキョンが主人公一団として自己認識しなおすんだなー」とか「あー、犯人はアレかー」とか。
だって根本に「お約束」が見える以上、それ以外の展開はありえないろうし、実際その展開だったわけだし。

そう言う「お約束の展開」ってなると、物語の展開よりも細かいところの演出とかキャラクターが気になるんだけど。
細かい演出に関しては主人公一人称口調が見事に台無しにしてるし、キャラクターはどれも演技くさいし。
こう、本当に味気が無いというかなんと言うか。

何が不思議ってこういういわゆる「当たり前すぎること」をネタにしてる割に、それに対しての毒が全然足りないのよ。
究極のご都合主義で構成された世界なのに、それに対しての冷笑が全然無い。
主人公であるキョンの冷笑は全然底が浅いからただの愚痴、あるいは諦念にしか見えないし。
他のメンバーもこの世界が「ご都合主義である」コトを前提として理解しちゃってるから誰もこの世界に反論しない。
じゃあ、その世界についての考察の余地とか皮肉の余地とか笑いの余地があるかって言うと全然笑えない。
つまりあれこれ考えるモノじゃないんですね、コレ。
だってすべてはハルヒさまの思し召しであるゆえ、彼女の感情が世界を構成してるんだけど。
その設定がものすごく「先詰まり」を感じさせるワケ。
彼女が成長しきって安定すると、この物語の世界は安定して終わりになる。
彼女が今のままだと、瞬く間にマンネリ化してしまうし(既に三冊目でマンネリを感じたし)

あとこの物語、根本が「メタフィクション」になってる。
「お約束」をベースにした「コレがラノベなんだろ」的な設定だったり、第二巻に至っては劇中劇を利用したメタフィクションになってる。
メタな話ってのはT-Akfは好きなんだけど、メタなネタって壮大な皮肉であって、壮大な釣りだとT-Akfは認識してるんですよ。
でも、この小説をメタフィクションとして読むと、少なくとも主人公にその荷は重く感じたの。
「メタ・メタフィクション」みたいな感じで、実は主人公が一人称で語るってスタイルすらも皮肉ってる! って感じでやるとしたらとりあえず失敗してる感じ。
だってその構造の複雑さを純粋に「ウザい」としか思えないのは失敗じゃない。

そういえば似た小説を思い出した。
戯言シリーズですね。
戯言シリーズのほうは主人公が何もしたがらないキャラなのに、結局主人公がすべてをしてしまう、させてしまうと言うスタイルかなー。
だから主人公の動きが世界を動かす感覚が見えるんですよ。
つまり、主人公一人称としての心理の動きが世界の動きとある一点で少なくとも同期してる。
結果的にそれが物語としての分かりやすさを出すし、爽快感を出すのよね。
あとは王道を踏襲してるけれど、ミステリって言う体裁を取ってるからオチが見えてもトリックが見えないとか。
まぁ、後半になるほどミステリ要素は無くなってくんだけど、
その頃には「続きを読んでも良いかな」と思えるくらいは読み込んでるんだよね。
まぁ、だからといって最後まで読んで「いやぁ面白かったなぁ!!!」って感じではなかったんですが。

で、ハルヒ。
「続き読みたい?」と言う質問には反応しようが無い感じでした。
だって全然味がしないんだもんこれ。
おなか一杯ってワケではない。
延々としつこいマンネリに多少辟易はしたけど、そもそもの味が薄いから特になんも思わんし。
かといって「もっと食べたい!」って中毒性があるものでもないので。
あるなら食べるよ、程度のもの。
ライトノベルだから一冊読むのに30分程度だし。

Written by T-Akf

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