Le petit chaperon rouge
その女の子は赤ずきんと呼ばれていました。
おばあさんから貰った血のように赤いずきんをつけた女の子はとても美しく、道行く村人たちが振り返ってため息をつくほど。
女の子も貰ったずきんが嬉しくて、毎日のようにつけていたので、自然に村人たちが彼女を赤ずきんちゃんと呼ぶようになりました。
女の子はとても元気がよく、花のようにかわいらしい微笑みを浮かべて村人たちにあいさつをします。
村人たちはそのあいさつを聞くと、一日の仕事にせいが入りました。
そんな彼女を村人はとてもかわいがり、とても大切にしていました。
しかしある日、村に病気が流行りだしたのです。
赤ずきんのお母さんはまだ元気でしたが、このままではお母さんも赤ずきんも病気になるのは時間の問題です。
お母さんは真っ赤なリンゴが五個入ったかごの底に、一枚の手紙を入れて赤ずきんに手渡しました。
「森のおくに住むおばあさんにこのリンゴを持っていってくれないかい」
「うん。わかったわ」
そう言って赤ずきんはいつものように真っ赤なずきんをかぶって出かけました。
「悪いおおかみに気をつけるんだよ」
お母さんはドアをあけて出て行こうとする赤ずきんにそう言いました。
赤ずきんは振り返って、満面のかわいらしい笑みを浮かべて言いました。
「大丈夫よ、きっとおおかみさんも分かってくれるわ」
村を歩いていると、赤ずきんは周りに誰もいないことに気づきました。
いつもこの時間なら誰かが外を歩いているはずなのに、誰もいません。
病気がはやっているから、みんな自分の家の病人の看病に大変で、誰も外に出たがらないのです。
赤ずきんはその事に気づいて、首を傾げてからクスリと笑って森に向かって歩いていきました。
森に入ると、おおかみが赤ずきんのことを見つめていました。
「こんにちは、おおかみさん」
赤ずきんはそれは美しい微笑を浮かべておおかみに挨拶をしました。
おおかみはそのあまりの美しさに驚いて身動きができませんでした。
今までおおかみは誰からも怖がられていたので、挨拶なんかされた事がなかったからです。
「おばあさんの家はどこかしら」
おおかみはそう聞かれて、素直におばあさんの家の方向を教えました。
しかしそれはなんとも複雑で、赤ずきんにはとても覚えられません。
「よく分からないからつれてってくれないかしら?」
赤ずきんがそう言うと、おおかみは嬉しそうにうなずいて赤ずきんをおばあさんの家へと案内してあげました。
おばあさんの家の近くにきた辺りで、おおかみはお別れを告げます。
おばあさんに見られたら大変な事になるかもしれないからです。
すると赤ずきんは微笑んでリンゴを二つおおかみに手渡しました。
「ありがとう、おおかみさん。お礼にはこれしかあげられないけど、ちゃんと食べてね」
おおかみはよろこんでリンゴを貰って、赤ずきんと別れました。
おばあさんの家に入るとおばあさんは赤ずきんを歓迎してくれました。
リンゴが二個入ったかごを見せると、底の手紙に気づいておばあさんはそれを読むと、たいそう驚きました。
「お前の村で大変な病気が流行ってるそうじゃないか。赤ずきんは大丈夫なのかい?」
おばあさんはそう赤ずきんにいってから、リンゴを一つ手に取りました。
そしてそのリンゴをおばあさんは色々と調べたあと、リンゴを捨てるとワインを五本赤ずきんに手渡しました。
「そのワインを村のみんなにあげなさい。そうすればきっと病気はなくなるはずだから」
そう言われて赤ずきんはワインをかごに入れておばあさんの家をでて村に向かったのでした。
おばあさんの家をでると、先ほどのおおかみが待っていてくれました。
そのおおかみのおかげで、あっという間に村に戻る事ができました。
赤ずきんは天使のような微笑を浮かべて、ふところからリンゴを取り出して手渡しました。
「ありがとう、おおかみさん。ほんとうはあとでこっそりと食べようと思ったけどおおかみさんにあげるわ」
おおかみはとてもよろこんで、村に向かって小さくなっていく赤ずきんにずっと手を振っていました。
村に帰ってから、赤ずきんはワインを村のみんなにふるまいました。
すると一週間もしないうちに村で流行っていた病気は影もなくなりました。
おばあさんと赤ずきんに村人たちはとても感謝しましたが、病気の原因は最後までわかりませんでした。
それから数日後、狩りに出かけた村の猟師が一匹のおおかみを見つけました。
それは村に流行っていた病気と同じ病気で苦しんでいましたが、猟師はまた村に病気が広がらないようにとおおかみを殺してしまいました。
そのおおかみは手に大事そうにリンゴを持っていたそうです。
病気の原因がリンゴということがわかった村の人たちは、その後暫くリンゴを口にしませんでした。
-Postscript-
赤ずきんにおいて「赤」はセクシュアリティの象徴、狼は男の象徴として描かれています。
しかし、ここで「赤」が似合う赤ずきんは、セクシュアリティが似合う少女と解釈すればどうなるか。
キリスト教の観点からさらにそれを構築しなおすと、こんな感じになります。
後味悪いなーオイ。